2009年12月20日日曜日

横浜と

横浜に行ってきた。
携わっているプロジェクトの会議である。
クリスマスの飾り付けが一段と美しい横浜は、僕の好きな街の一つである。もう一つは神戸。そう港町である。

横浜〜川崎、菊名のあたりは、20代の頃にしばらく仕事の研修と勉強に滞在していたことがある。
当時川崎に研修施設があって、そこでものづくりや機械構成の研修と、光学レンズの勉強をしていた。

休みになると横浜に出て、港町周辺を散策してたりしたが、みなとみらいが出来る前だったから、港町特有の少し寂しい風景があったと記憶している。

横浜は、港町であるから、外国の空気が漂う、これは神戸と似ている。明治時代には開国の嵐とともに、たくさんの外国人がこの街を闊歩したに違いない。

横浜といえば(鉄道おたくの)僕にとっては、もうひとつ東急線だ。まだ若かった社会勉強中の僕が、何度も通った鉄道。

ちょうど高校を出て、横浜や関東に仕事で出ていた同級生たちと時間を合わせて居酒屋で飲んだりして、最終の東急線にはお世話になった。寮の生活だったから、門限を破りつつ、いつも(毎回)始末書を書きながら一向に反省の色がなく、よく呼出しされたが、
決まって僕の回答は「日本の未来について研究勉強会をしております故、時間が遅くなること致し方が無い」というもので、寮長さんはいつも笑って「坂本龍馬気取りやな、あんたは」といい最後には「規則やから、呼出しして、僕も報告書を書かないといけないけれども.....」と言いながら、こっそり裏口の鍵のコピーを渡してくださった。「寮を出るときは、ちゃんと返却してくれよ」と

なつかしい気分も手伝って、横浜入りはそんなことを思い出したりする。その当時の寮長さんは2年前にお亡くなりになったが、

数年前に「今こんなビジネスをしてまして」と話をしたとき「面白いことしてるんやなあ、相変わらずやなあ。君も45歳までは思いっきり試行錯誤して、50歳には一つのモノにしなさいよ」とアドバイスとも、激励とも言えることを言ってもらい、当時僕の成績になるのならと説明を聞くこともなく、僕のオススメ商品を購入してくれたりした。

「ああ、適当に送ってくれたらいいよ」

いつか、僕も次の世代の人に、こんな風に言えるようになりたいなあと思う人だった。


寮長は職人上がりの人だったが、いつも食事の時に「日本は技術が伝承されにくくなってきている。仕事のノウハウや技術は世代に渡って継承されてはじめて本物だ。でも時代のスピードが早くなりすぎて、本当に必要な時に、きっと技術的な伝承がなかったことに後悔するときが来る。」時代はバブルの絶頂期...

僕は将来の日本には、全く心配してなかったし、寮長の言葉の意味が全く理解出来ずに、それが世の中の進歩というもので、もっとこれからは機械が素晴らしい仕事をしてくれて、人は仕事をしなくても製品が出来るぐらいになるんと違いますか?とか、いろいろと反論していた。

寮長は、光学レンズの磨き職人だった。光学レンズの最高の質のものは、最後に「手磨き」で曲率を揃えていく。人間の手の感覚に追いつく機械は、実は今現在を持っても、ない。

寮長が教えてくれたことはたくさんあるが、今の仕事にも生きている一つの僕なりのものさしがある。

ものづくりのものさしだ。

僕が評価する工場の「ものさし」は、最終工程に人の手が入っているところ。

いろいろな工場を見てきたが、僕が仕事をしているところ、取引をしているアメリカの工場も、最終工程に人の手が入っている。

これは出来そうで、実はほとんど出来ていない。
最初の工程が人の手であるところは五万とあるが、最終工程に人の手が入っていて、それをきちんと管理していることはなかなか出来ない。さらに言えば、コスト削減のために人力でやっているのではなく、コストをかけて、最高のものを仕上げるために人の手を使っているところ。最終工程であるが故に、それはきちんと継承されていく。なぜ人の手なのかから始まって、どんな「感覚」を養うのか?何に注意を払うのか?どこまで出来ればOKであるのか?というものをチキンと伝承するためのノウハウも含まれる。

伝承のノウハウは、一種プレゼンテーションのノウハウに近いし、同じ内容のことを繰り返し、繰り返し、さらにそれを繰り返して伝承していく。根気とか粘り強さというものを超えて、愚直に、馬鹿になって繰り返すことでしか、物事は伝承できない。

寮長はこんなことも教えてくれた。

「繰り返すから伝承するのではなく、伝承させようと思ったら繰り返すしかない。繰り返すためには、シンプルでなくてはならない。シンプルであるためには深く追求するしかない。伝承出来る何かを作れよ!そして、繰り返し繰り返しで追求していくんだ。時代を先読みするのも大事かもしれないが、伝承すること、伝承できることを作れよ!」


横浜にくるたびに、思い出す風景。

来月も横浜で会議がありますように。

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